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最高裁判所第一小法廷 昭和32年(オ)720号 判決 1959年8月27日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人西村甫太郎の上告理由第一点について。

しかし、原審においては、上告会社は真正な代表者山浦隆によつて代表され、同人の委任した訴訟代理人西村甫太郎が本案について弁論をして訴訟を進行し、原判決を受けたことは記録上明瞭であるから、原審における右上告会社側の行為は、結局第一審における訴訟行為を追認したに外ならないものと解せられる。それ故仮に第一審の訴訟行為に所論の違法があつたとしても、右違法は原審において補正せられたものというべく、原判決には所論の違法は認められない。

同第二点について。

記録に徴するに、上告人が原審において陳述したところが、第一審判決の摘示事実をいでないものであつたことは明瞭である(記録一七四丁)。それ故、第一審判決の事実の部分を引用した原判決には所論の違法は認められない。

同第三点について。

原判決引用の一審判決は各種の証拠を綜合して所論の金員が本件売買の前渡金であり、判示木材が被上告人より上告人に引渡された旨認定しており、右認定は挙示の証拠に照らし是認できる。所論はひつきよう原審の裁量に属する証拠の取捨、事実の判断を非難するに帰し採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 入江俊郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 高木常七)

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